no.02 The Casa For Mr.Fs

F氏に初めてお会いしたのは、xylo-01のオープンハウスでした。xylo-のすべてを気に入ってもらい、その日のうちに設計依頼を受けたことを覚えています。聞けば、これまでに数社に設計を依頼、検討したとのこと。しっかりと書き込まれた要望のメモは、さすがに内容が整理されており、諸室の広さ、素材、寸法、スケッチまで書かれ、具体的で確かなイメージが伝わってくるものでした。
我々はそのすべてを満たす家をつくることを決意し、一つひとつ、打合せとデザインを繰り返し、丁寧に積み上げていく作業を続けました。
家族が心地よく暮らし続けられるよう描き続けたF氏のこだわりは、多彩なシーンを持つ家としてかたちとなりました。時間の流れとともに変化する自然素材が、この家の味わいを深めていくことでしょう。
Data: ○所在地/鳥取市桜谷○用途/専用住宅○家族構成/夫婦+子ども3人○構造/在来木造○規模/地上2階建○設計期間/2008年2月~2008年10月○施工期間/2008年10月~2009年4月○敷地面積/199.23m2○延床面積/149.05m2
平面図
詳細
リビング


リビング・ダイニング。和室、キッチン、テラスへと繋がる、F邸の中心となる空間。テラスに接した南側の大きな窓からの光が部屋全体を明るく照らしてくれる。窓を開けると、テラスとは床続きになる。
キッチンカウンター

対面式のキッチン。カウンター下には収納が併設されている。
階段下の作業スペース

小さな作業スペース。パソコンなどが置かれる。
和室

リビング隣りにある和室。
珪藻土

和室を含めた1階の壁と天井は、すべて珪藻土仕上げとなっている。
玄関

来客用と家族用を、壁が仕切る。
豆砂利洗出し

玄関の床材として使用されている、豆砂利洗出し。
ニッチ

玄関を入って正面に設けられたニッチ。
ウォーキングクローゼット

玄関とリビングの間にある、ウォーキングクローゼット。かなりの収納力を持つ。
洗面室(1階)

「家族が一緒に使用することができるように」と、ゆったりとした広さにつくられた洗面室。
子ども部屋

ブランコがさがる子ども部屋。仕切りを外しているので、ひとつの空間となっている。子どもの成長に合わせ、最大3つに分けて使用することができる。
子ども室とロフトへ上がる梯子

部屋上部に設けられたロフトへと続く梯子。勉強机はデザイン:Fさんの娘さん、制作:PLUS CASAのコラボレーション作品。
ロフト

子ども部屋3室分連続するロフト。将来、就寝スペースとして使用できるよう、落下防止の手すりが付く。
外観(南側)

閉じた印象の前面と異なり、開口部が多く、開放的な印象の南面。2階に大きなバルコニーが見える。
ウッドデッキのテラス

南側にある大きなウッドデッキ。Fさんお気に入りの大きなバーベキューセットが設置されている。庭には砕石が敷かれる。
焼杉(外壁)

外壁に使用されている焼杉。外観の印象を決定する大きな要素のひとつ。
写真
その他のF邸の写真は、
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特別記事: 「5年間の逡巡が『かたち』となった瞬間。」
5年。Fさんが家を建てることを実行に移し、ハウスメーカーや工務店、設計時事務所に足を運び、家族で検討し続けた時間。これだけの時間、逡巡を重ねてきたFさんは、PLUS CASAのxylo-:01 A邸(鳥取市湖山町)のオープンハウスに足を踏み入れた瞬間、「ここに頼もう」と決めた。今度は、即断だった。
Fさんの頭の中には、すでに1軒の家が建っていた。5年という時間が、その家をより具体的に、ち密にしていった。その新しい家で、Fさん一家の暮らしがはじまり、住んだ人にしか分からない空気、温度、においが醸成されていた。
この非常に具体的で、非常に曖昧なかたちを、現実の家としてかたちにしてくれるパートナーを、Fさんは探し続けた。
xlyo-:01の中には同じ空気や温度、においがあったのかも知れない。FさんはPLUS CASAの小林に声をかけ、その場で設計を依頼した。
Fさんから具体的に渡された要望は、大小合わせて50以上。しかしそれ以上に具体的な家が建っているのを、小林はFさんの瞳の奥に見たのではないだろうか。
要望をパズルのようにあてはめるだけでは、家は建たない。何色で、どのような材で、どのような想いが込められていてそのピースが存在しているのかを、丁寧に、一つひとつ確認しながら組み上げていく必要がある。
Fさんの中で長い時間を経て生まれた調和を、現実のものとしてかたちにする作業。それが個人の住宅を設計する仕事だと言ってしまえばそれまでだが、それをきちんと果たせる建築家が、世の中にどれだけいるだろう。
(文: 和多瀬 彰 MAGAZINE PLUS CASA vol.7より)