木漏れ日に包まれる

HOME BASEのような雰囲気にリノベーションして欲しい。」と福岡県からメールをいただき、嬉しくて直ぐに予定調整し、敷地を目指して車を飛ばしました。何とかなるだろう!と勢いで出発したけれど、片道8時間の運転は想像以上に過酷…。フラフラになりながら辿り着いた敷地は、疲れが吹き飛ぶくらい自然豊かで恵まれた環境!それに可愛いボストンテリアの女の子が愛想よく出迎えてくれ、すっかりメロメロに~。
あれから2年半、ようやくお引渡しを行うことが出来ました。

博多市街地を望む高台の閑静な住宅街にある敷地は、多くの緑に包まれた庭に、以前は陶芸家が自宅とアトリエとして利用されていたという建物が2棟建っていました。「自宅に使われていた木造の住宅棟を仮住まいとしながら、鉄骨造のアトリエ棟をリノベーションして住みたい。そして最終的には住宅棟を解体し、愛犬が走り回れる庭づくりを楽しみたい。」と構想されていました。
高度経済成長時代に都市へ集中する労働人口の受け皿として開発された郊外住宅地では、居住者の高齢化が進むも住み継ぐ子世代が少なく、空き家の数が増え続けています。そんな中クライアントは、自分達のライフスタイルに合った空き家を探し出し、新築では得られない豊かさを、空き家活用によって模索されたのです。私達は彼らの構想を具現化することで、このような“郊外住宅を住み継ぐ”という新しいサイクルを生み出す一例になり得るのではないかと考えました。

1階は、ピロティと愛車の改造など行う趣味の部屋。2階を生活の拠点とし、この敷地の魅力の一つである庭のモミジを間口いっぱいに眺めることが出来き、かつ愛犬が回遊できるよう、諸室をひと繋がりの一室空間としました。

一年を通じ変化するモミジの表情、周辺の木々や木漏れ日。それらが空間の一部となる豊かな暮らし。冬は薪ストーブの周りで、まったりと家族で戯れる。
廃墟と化していた陶芸家のアトリエが、四季を感じながら愛犬と暮らす住空間へと生まれ変わり、新たな家族の物語がこの建築から始まろうとしています。

Photo by Kota Aoki

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