HOME BASE

鳥取の建築家PLUS CASA HOME BASE

田舎に暮らす豊かさを探して

鳥取県東南に位置する山奥の小さな町の、さらに山奥の小さな集落にこの建築は存在する。

これは私たちの自邸である。

Uターンで帰郷後、父が経営する工務店だったこの建築の片隅で設計事務所をはじめた。住まいは同じ集落内の実家に両親と同居していた。

「なぜわざわざ、こんな山奥の不便な場所に暮らすのか?」私たちに明確な理由があったわけではない。日々の暮らしの中でその答えを探していた。あるいは、答えを見つけ出すことがここで暮らす目的になってしまったのかもしれない。
いずれにしても私たちはここに住み続ける覚悟を決めた。

そしてこの建築を拠点とした職住一体化を目指し、事務所の上階の資材置き場だった倉庫を居住空間にリノベーションすることにした。

資材を片付けた時、そこに現れたのは住宅のスケールを超える大きな気積と、窓越しに広がるパノラマの里山風景だった。

床面積215㎡。最高天井高5m。まずはこのがらんとした空間の温熱環境をいかにして整えるかが課題となる。十分な断熱工事を施し、エネルギーはできる限り身近に集められる資源を活用したいという思いから、夏は川の水を利用して屋根の散水冷却を、冬は山の木を燃料に利用する薪ストーブを採用した。外部は一切触らず、内部も4つの個室の他は水廻りを集約した1つの箱と間仕切り壁を2枚配するだけの、簡素な間取りへと収束していった。

最小限の要素と単純な構成から生まれる大小の余白。そこに機能を与えることで成立した100畳のワンルーム空間。資材に埋もれ真っ暗だった倉庫は、外部からの視線を全く気にすることなくなく、四季折々に変化する自然の風景を享受する居住空間となって生まれ変わった。そして一年を通して家族で薪づくりに汗をかき、自然と共にある暮らしを実感しながら、「なぜわざわざ、こんな山奥の不便な場所に暮らすのか?」その答えを探し続けている。

Data

○所在地/智頭町○用途/事務所+作業場+住宅○家族構成/夫婦+子供3人○規模/地上3階建て○設計期間/2013年12月~2015年5月○施工期間/2014年7月~2016年3月○延床面積/259m²(住宅部分)

Detail

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

リビング

玄関を入ると目に飛び込んでくる、元倉庫のボリューム感を活かした大きな一室空間。窓から豊かな自然を望む。

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

リビング

薪ストーブの背面に位置するコンクリートの壁は、蓄熱と柔らかな放熱により暖房効率を高める役割を担う。

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

薪ストーブ

薪ストーブはハースストーン社「EQUINOX」。最大出力は30,240kcal/時。
 

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

クローク・薪置場

死角となる薪ストーブ背面の壁の裏側には薪ストック、クローク、収納棚を配し、リビングのバックヤードとしての機能を持たせた。

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

ダイニング・キッチン

箱の中にはキッチン、パントリー、パウダールーム、バスルームといった水廻りを集約し、上層はロフトとして利用している。

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

リビングをロフトの上から

LVLの壁はクローゼットと床下収納を内包。家族で過ごすパブリックエリアと個室の並ぶプライベートエリアを緩やかに仕切る。

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

LVLウォール

長さ15mに及ぶLVL(ラミネイティッド・ベニア・ランバー)の有機的な木目は、空間全体に方向性を与えてくれた。

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

クローゼット

LVLのウォールの個室側にあるクローゼット。家族5人分の衣類を収納することができる。

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

洗濯乾燥室

キッチンや風呂などを収めた箱の周囲は機能的に回遊できる。陽当たりの良い南側を洗濯乾燥室に割り当てた。

平面図

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

  • B 寝室
  • Ba 浴室・洗面室
  • C1 クローク・薪置場
  • C2 クローゼット
  • E 玄関
  • La 洗濯乾燥室
  • LD リビング・ダイニング
  • Lo ロフト
  • O オフィス
  • Pa パントリー
  • WS 薪ストーブ
  • Vo 吹き抜け

Other

鳥取の建築家 PLUS CASAブログ

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本作品は、2016年第8回JIA中国建築大賞住宅部門大賞を受賞いたしました。

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