職住一体の暮らし方
私達が設計した空間「HOME BASE」に暮らし始めて1年が経ちました。
以前の暮らしは、事務所から自宅(実家で二世帯同居)まで徒歩2~3分と数字的には恵まれた環境。しかし通勤距離は短くても、仕事を始めると夜まで自宅に帰ることは無く、不規則不定休な仕事のため、休日も子供たちだけで留守番は当たり前。子供の生活リズムに合うよう仕事を中断し自宅へ戻り、子供が寝た後に事務所へ戻って仕事する日も多く、仕事と家事育児との両立にフラストレーションンを抱え、仕事することに罪悪感を感じることもありました。徒歩2~3分の距離なのに精神的にはとても遠く感じる…。
また、豊かな暮らしを提唱し住空間を考える立場にありながら、私たちの暮らしは豊かなのか?と葛藤し後ろめたく感じていたことも事実でした。
事務所に併設する倉庫を自宅へとリノベーションし職住一体化しようと決めた背景には、このような暮らしを変えたい、子供たちが巣立ってしまう前に生活環境を改善したい、という強い思いがありました。
(エントランスホール、事務所入口建具の写真)
この建築は事務所と自宅のエントランスは共通、中に入るとエントランスホールを兼ねた打合せスぺースになっています。業者さんとの打合せや急な来客の応対はもちろん、留守でも野菜などの差入れが置いてあったり、子供は待合わせ場所として利用したりと開放的に活用しています。
エントランスホールから階段を上がると自宅、奥に進むと事務所と分かれています。
事務所にいても子供が帰宅したこともわかり、事務所で一緒に宿題をすることもあります。仕事の合間に食事の準備をし家族と夕食を共にとったりと色々融通が利きくようになり、仕事をしながらでも常に家族との繋がりを感じることができ長年抱いていた罪悪感も薄れました。
よく仕事とプライベートが一緒だと境目が曖昧でけじめがつかないのでは?と聞かれるのですが私の場合、その時々仕事とプライベートの優先順位を選択できる環境が適していて、以前より仕事も集中できライフバランスが向上したと感じています。
「職住一体」と検索すると「職場と住居が同じ場所にあること。自営業、農業など。」とあり、まさに昔からある暮らし方であることがわかります。
それにインターネットが普及し働き方の選択枠も増え、今後更に増えていく未来的な暮らし方であるとも言えます。
全ての人に適しているわけではないですが、このような「職住一体の暮らし方」という選択もあることを、もっと広めることが出来ればと思っています。