智頭宿特産村トイレ
20年以上前に建てられた「智頭宿特産村」のドーム型トイレ。観光客の受け皿となる無料駐車場に併設されている施設です。
ところが近年では、ひどい雨漏りによる腐食や衛生設備の老朽化、格子の隙間から入る害虫や落ち葉の頻繁な清掃など、さまざまな課題が……。
一刻も早く解決しなければと考えた智頭町役場から「見積もりを取ったところ、既存と同様に東京ドームと同素材のテントを使用した屋根の改修費用が約2000万円。また町内の別の敷地で最近新築した公衆トイレの建設には約3000万円かかった。改修か新築か、どちらを選択するべきか?」と相談があり、動き出したプロジェクトでした。
私たちは、その二択ではなく、既存の構造を活かした約600万円の改修工事を提案しました。
屋根を板金で葺き替え、老朽化した衛生設備を新しいものに入れ替える内容です。またコスト面だけでなく、既存建築が間伐材を用いて建てられた経緯や、地域に長年親しまれてきた「町のアイコン」としての価値を継承することも重要だとお伝えしました。
その提案が採用され、設計監理を行ったプロジェクトです。
新しく生まれ変わった智頭宿特産村トイレ
既存のドーム型を活かし、また「杉のまち・智頭町」らしさを表現するため、智頭宿街道沿いの民家軒下に吊るされている「杉玉」をイメージしてデザインしました。
このトイレが、地域の方々に引き続き親しまれ、訪れた方にも親近感をもってもらえる場所になることを願っています。
所在地 | 鳥取県智頭町 |
---|---|
用途 | 公衆便所 |
構造 | 木造 |
設計期間 | 2019.01~2019.4 |
工事期間 | 2019.9~2019.12 |