WORKS – case-I/S

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この住宅は、周囲に畑が広がるのどかな敷地に建っています。

クライアントの要望は、「南北に光と風が通り抜ける、ゲートのような建築」でした。私たちは、二層吹抜けのリビング空間と、連続して外部へと繋がるテラス*をゲートで包み込むかたちを提案しました。内部と外部を間仕切る開口には木製カーテンウォールを採用し、既製品では対応できない開口面積を堅牢な構成で実現。深く張り出したゲートは季節ごとの入射角度を調整し、木製カーテンウォールの耐久性を高めます。また効率の良い風の流れが生まれるようにと、全ての窓の大きさ高さ位置を採風計算で検証しました。

テラスとの一体利用を可能にする全開放建具、夏以外は取り外して収納可能な網戸、夜の視線を遮る一層分のカーテンボックス、ライトアップのための間接照明など様々な機能を合わせ持つこのカーテンウォールが媒体となり、内から外、外から内、それぞれの景色を豊かに演出してくれています。
*引き渡し後、テラスにはクライアントがウッドデッキをセルフビルドされました。

Data

○所在地/岩美町○用途/専用住宅○家族構成/夫婦+子供2人○構造/在来木造○規模/地上2階建○設計期間/2012年4月~2013年3月○施工期間/2013年5月~2013年11月○敷地面積/233.97m²○延床面積/118.48m²

Detail

鳥取の建築家PLUS CASA WORKS - case-I/S

ファサード(正面外観)

S邸の顔となる巨大な木製カーテンウォール。黒が全体の印象を引き締めシャープさを与え、近づけば材である木が、その表情を柔らかくする。

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リビング・ダイニング

開放的な吹き抜けを持つ約25畳のリビング・ダイニング。奥の白い壁はキッチン。天井まで伸びる薪ストーブの煙突が、空間の広がりを高めている。

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リビング・ダイニング

キッチン側から見たリビング・ダイニング。のどかな窓景が広がる南を向いた大きな開口部から、たっぷりと光が差し込む。人通りが少ないので、人目は気にならないそう。

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リビング・ダイニング

2階のクローゼットからリビング・ダイニングを見下ろす。木製のサッシに埋め込まれた照明が、夜のファサードの表情を変える。

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キッチン

幅2.7メートルのゆったりとしたキッチン。背面の横長の収納棚は、作業中にはちょっとした物置にも。

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パントリー(食料庫)

料理好きの奥様が設置を希望したパントリー。4人家族には十分過ぎるほどの食料がストックできる。

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洗面所

自然な光がたっぷりと注ぎ込む洗面所。写真では見えないが、シンクの下には十分な収納力を持つ作り付けの収納棚がある。

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二階の廊下

薪ストーブの煙突の裏をぐるりと回るようにして階段を上がると、まっすぐに伸びる廊下が。廊下と吹き抜けを収納棚隔てている。

平面図

鳥取の建築家PLUS CASA WORKS - case-I/S

鳥取の建築家PLUS CASA WORKS - case-I/S

  • Ba 浴室
  • BR 寝室
  • C 収納
  • E 玄関
  • K キッチン
  • L リビング・ダイニング
  • Pa パントリー(食料庫)

特別記事:窓の家。

友人に「豆腐のような家だね(笑)」と言われたこともあるというS邸の特徴は、なんと言っても大きな窓。立方体の一面の半分近くを窓が占める。

この窓、ただの大きな窓ではない。

南に向いた大きなこの窓は、大量の光を取り込み、ほぼ一室空間となっているS邸の内部全体を満たし、照らすが、夏は太陽の光を遮り、冬は最大限の光を取り込むように設計されている。夏は涼しく、冬は暖かい家なのだ。

同時に、心地よい風を内部へと導く。窓の大きさや高さは採風設計による検証で設定されており、効率の良い風の流れを生んでいるのである。

この、S邸の顔とも言える大きな窓、実は、当初のプランにはなかったものだ。

プラスカーサの最初の提案は、前面を壁でふさぐプライバシーを重視したものだったが、Sさんご夫妻は「もっと開放感が欲しい!」。現在の開放的なプランとなった。

ここまで開放的だとひとの目が気になるのでは、と誰もが思ってしまうが、「周辺の人通りが少ないこともありますが、全く気になりません」。むしろ、引き渡し後にリビングから外部へと続くデッキをSさん自身が設置され、さらにオープンな状況へと進化している。

以前よりも広くなった家で、それぞれの居場所ができ、自分のやりたいことを自由にできるゆとりが生まれたが、内部にも開放的なS邸の空間は、家族の息づかいをお互いに伝え、安心感も与えてくれるという。生活の中で「仲良く暮らす」ことを大切にしているというSさん家族。オープンであることは、それを実現する大切な要素なのだろう。

Other

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プレゼンから引き渡しまで、この作品に関する悲喜こもごものストーリーはこちらでお読みいただけます。

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