WORKS – case-My/T

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

4世代でお暮しの施主は「大家族の暮らしは気に入っているが、妻子5人で過ごす時間も持ちたい」と、実家に隣接する畑に新居を希望されました。

「家族で過ごす、広いリビングが欲しい」という依頼に対し、私達は1Fを家族で集まれる大空間(パブリック)、2Fを一人で過ごすコンパクト空間(プライベート)と設定、空間にメリハリを与えることで抑揚ある暮らしの場がつくりだせないかと考えました。

着工直前、奥様より突然「この家で、森のようちえんを始めます」。追加要望は1Fに本棚を追加、デッキにテントで屋根を付けるの2点。家族5人のためと考えた家が、沢山の園児たちと、まるで大家族のように過ごす園舎として完成しました。家族のためのコンセプトが、森のようちえんという大きなパブリックプログラムをプラスしても上手く機能していることに安堵し、胸をなでおろしています。

Data

○所在地/鳥取市○用途/専用住宅○家族構成/夫婦+子供3人○規模/地上2階建て○設計期間/2013年3月~2014年4月○施工期間/2014年6月~2014年12月○敷地面積/475.36m²○延床面積/116.22m²

Detail

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

LDK(1)

園舎としても利用されているリビングルームは1階のおよそ50%を占める。冬場、この広い空間を暖めてくれるのが、薪ストーブ「ドブレヴィンテージ50」。

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

LDK(2)

リビングルームを別の角度から見ると、施主お気に入りの空間となる。薪ストーブの炎、大型テレビでの映画、スコッチウィスキーで大人の時間を楽しむ。

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

デッキテラス

デッキテラスには夏の遮光や雨よけになるキャンプ用のタープを設置。リビングルームとつながる、もう一つの部屋としても使用できる。

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

2階の廊下

寝室などプライベートな空間となる2階は、廊下に沿って各個室が並ぶ。

平面図

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

鳥取の建築家PLUS CASA case-My/T

  • Ba 浴室
  • BR 寝室
  • C 収納
  • D デッキテラス
  • E 玄関
  • LDK リビング・ダイニング・キッチン
  • Lp 洗濯室
  • WS 薪ストーブ

特別記事:昼と夜、上と下、今と未来。

夜、灯りが落とされたT邸のリビングルームは、揺らめく薪ストーブの炎に淡く照らされ、ひとりT氏がスコッチウィスキーのオン・ザ・ロックを片手に、大きなスクリーンに映し出された映画を楽しんでいる。パチパチと薪が爆ぜる音と、グラスの中で氷が揺れる音が聞こえる、静かな大人の時間だ。

数時間経って朝がやってくると、リビングルームの様子は、一変する。色鮮やかなアウトドア仕様の洋服に身を包んだたくさんの子どもたちが、大きな声を出しながら所狭しと駆け、大人たちは出かける支度に忙しそうだ。

そう、T邸は「鳥取・森のようちえん 風りんりん」の園舎でもあるのだ。

リビングルームやダイニング・キッチン、トイレや風呂のある一階を園舎としても使用し、寝室などがレイアウトされた二階が住居専用のスペースだ。言ってみれば、一階がパブリック、二階がプライベートという区分け。上と下、昼と夜で、機能と用途が実に明快に分けられている。

施主のT氏は数年前、奥さんと二人の子どもと一緒に東京から地元、鳥取へとUターンしてきた(現在はお子さん三人)。在京時に音楽関係の仕事を通じて出会った二人は「あまり先のことを考えない刹那的な生き方をしていた」という。対して、自邸の計画は、自分たち家族の今を見つめ、また将来を具体的に想像し、暮らし方を決めていく作業である。

Uターン後、T氏は農業法人を、奥さんは森のようちえんを立ち上げるなど、非常に活動的な夫妻。彼らが、新しい拠点としたこの家で、家族との未来をどんなふうに想像し、実践しようとしていくのか、楽しみだ。

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