智頭宿 楽之(tanoshi)
竣工写真を撮ってもらいました。
今回のカメラマンは、子供の同級生のお父さん。子供が少年野球をしていた頃、いつも凄いレンズで子供たちを撮ってくれていました。
ある時たまたまカメラの話になり、作品を見せてもらって感動!!
それから時々竣工写真をお願いしています。
実は、クライアントはその少年野球当時の監督さん。クライアントも大喜びの撮影となりました。
Photo by Shigemitsu Taniguchi
以下、テキストです。
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鳥取県智頭町にある旧宿場町、智頭宿に建つ築135年の古民家を飲食店+ゲストハウス+コアワーキングスペースへと再生した。
40年近く空き家だった民家。
改装が繰り返し行われてきた内部仕上げを撤去し、露わになった梁や壁。
歳月を重ねた趣ある佇まいの既存部分を極力保存し、構造補強のために必要な新設壁などとバランスをとりながら設計を進めた。
以前の家主は金物店を営んでいたことから、敷地内に3棟ある蔵には雑貨や家具の他に商品だった金物が多数残されていた。それらを積極的に再利用し、この建築の歴史や痕跡として留めておきたいと考えた。町内在住のアーティストにより制作された鎌や鍬を使った照明器具。地元の建具職人、鉄工職人の協力で完成した鉈の取っ手。近隣住民によるワークショップで実現した麻ひもを塗り込んだ壁仕上げなど…。これらは現代の感性や技術によって生まれ変わり、この建築を特徴づけてくれることとなった。
智頭宿は、参勤交代で江戸へ向かう主要道であった智頭往来と備前街道が合流する地にあり宿場町として栄えた歴史を持つ。
沿道には社寺や町家などの古い建築の町並みが残るが、現在通りを歩いている人は少なく、空き家対策も町の課題となっている。
この建築が再生され明かりが灯ったことにより、新たな人の流れが生まれ、この建築だけでなく、周辺の街並みも宿場町だった頃のように賑やかな町へと蘇るきっかけとなればと期待している。
■建築概要
所在地:鳥取県智頭町
用途:飲食店+ゲストハウス+コアワーキングスペース+住宅
規模:地上2階
延床面積:240㎡
竣工:2018年12月