case-I/O 引渡し
訪れる季節だけでなく、時間帯によっても様々な表情を見せてくれる。
そんな中央アルプスと南アルプス、ふたつのアルプス山脈に囲まれ、それぞれをパノラマで眺望することが出来る敷地に建つ住宅が竣工しました。
建築家フランク・ロイド・ライトが土地と建物との一体化や周辺環境との調和を目指し提唱した「自然と建築との融合」という思想を、信州的に解釈したらどのような建築になるのか?とのクライアントのご要望を基に、2020年の秋から設計を開始。
私たちは、切妻造り妻入りや緩い勾配の屋根などが特徴の長野県中信地区から南信地区にかけて分布する民家の形状「本棟造(ほんむねづくり)」を中央アルプスの稜線に重ね、それを表現することにしました。
シルエットが風景の一部と感じられるよう、何度もBIMでシュミレーションして落とし込んだプロポーション。
「この地に昔から建っているような奇をてらうデザインではないけれど、他とは確実に違う存在感が気に入っている。」とのクライアントのお言葉に、これまでの苦労も報われました。
どこにいても風景や屋根形状が感じられる内部空間は、雄大な自然に抱かれ、山々に見守られているようにも感じられます。
また工芸作家である奥様のガラスや銅板を利用した作品が各所に配され、空間に彩を添えてくれています。
アトリエ
寝室
デッキテラス
各部屋から四季折々の風景が眺望できる。
ご夫婦の大好きな草花がこの庭を覆う頃、この地により溶け込んでいるはずの建築を再び訪れることが今からとても楽しみです。
Photo by Kota Aoki