SIMHOUSE – 2009年7月

2009年

SIMHOUSE - 2009年7月

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まだ気温も上がりきっていない、ある夏の日の午前中。鳥取市内のファストフード店で、協力者の川辺さんとPLUS CASAの小林和生、利佳のふたりがはじめて顔を合せました。打ち合わせはたわいもない雑談から始まり、内容は徐々に家のことにシフト。小林が質問を投げかけ、川辺さんが答え、利佳がメモをとるという流れになっていきました。川辺さんの家に対する考え、価値観、記憶などが断片的ですが語られていきました。

以下がこの日、川辺さんが話した要望や条件のまとめです。

1. 予算は未定。どの程度支払えば、自分の思うような家が建つのか、見当がつかない
2. 使用されていない家の建つ、親族が所有する土地があるので、そこに新しく家を建てたい
3. 防犯面をしっかりして、安心して暮らしたい
4. ずっと暮らすことを考えて平屋建て
5. 正直、家の価値、判断基準が分からない

打ち合わせの最後に、「初回の打合せから、最初のプレゼンテーションまでに要する時間は、通常1か月から3か月であるが、今回は実際に家を建てるわけではないので、一般の案件の進捗を優先せざるを得ない。そのため、それ以上の時間を要すると思われる」といったことが、小林から説明されました。追加したい条件やアイディアなど、思いついたことがあれば、川辺さんからPLUS CASAにEメールで連絡することを確認して、およそ1時間の打合せは、ひとまず終了しました。

以下は、初回打ち合わせ後の二人のメモです。

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これがわたしの人生で一番高い買い物(となるはず)。心のどこかで、小林さんだけでいいのかな、他の業者と比較してみたほうがいいのかなと考えてしまった。これがシミュレーションでなければ、おそらくそうしているだろうし、そうするべきなんだろう。

自分の頭の中に家のカタチを描いていて、家を依頼するときには、まずその話からするものだと勝手に決めてしまっていたので、普通の雑談から始まり、家に対する思いや暮らし方などを聞かれたくらいで、小林さんから具体的に「間取りは?」とか、そのような質問が最後までなかった(ように記憶している)のには違和感を感じたというか、不完全燃焼のような感じでした。こちらから具体的にいろいろ言えばよかったのかもしれませんが、「もっと色々聞いてよ!こんなことで私の住みたい家が分かるの!?」と思いました。その反面、あまり細かく言わないほうが、私が思い描いているようなものより、もっと素敵な設計(プロだから当たり前なのですが)をしてくれるんじゃないかという期待もありました。

そんな中で、利佳さんがノートを開き、私が話していることをちゃんと書きとめてくださっている様子は、安心感を与えてくれました。とはいえ、一番気になるところは、やっぱり価格。正直、常に頭からは「それで、いくらするのか…」ということが離れませんでした。

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通常、私たちに依頼してくださるお客様は、「家を建てる!!」という大きな決断をされた後にお会いすることが多く、家への想いや、要望を多少なりともお持ちで、ヒアリング時には、大きな方向性を見つけ出しイメージすることができる。今日の打合せは「シミュレーション」ということもあってか、条件の多くが漠然としていて、これまで依頼を受けた方とは違う印象。川辺さんが提示した条件に対する私たちの解釈に確信を持つことが出来なかった。改めてメールしてくださる、との事なので、それを待つことにする。

打合せの後、敷地の確認に行った。

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実際には建つことのない家 ———

川辺さん、PLUS CASA双方に、多少なりともそうした先入観があるのは確かですが、この日の打ち合わせで、少しだけ現実味が加わったようです。

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あれから自分の家のことについて考え、そのまとめとして、小林さんたちに渡すための「家の条件リスト」なるものをつくってみた。どこまで書いたらいいのか分からないし、直接伝えたほうが良いんだろうと感じながらも、思いつくままに。あまり細かく書いてしまって、小林さんがそれに縛られてしまって小林さんの良いアイディアが生まれなくなってしまってもいけないし、逆にあまりにも大雑把だと困ってしまうかも知れないな。

今日、住宅ローンについて金融機関(中国労働金庫 http://www.chugoku.rokin.or.jp/ )に聞いてきた。頭金500万円を固定で、借入金を1000万円、1200万円、1500万円の3パターン、12年間での償還表の作成を依頼。返済は月額5万円、ボーナス月20万円の予定。金融機関から聞かれた項目や条件としては現在の年収、他にローンがない、抵当権の設定など。

鳥取の建築家 PLUS CASA

3パターンつくってもらったものの、借入金は1000万円でいこうと思っています。その理由。今の職場に定年(60歳)までいるつもりが今のところなく、50歳くらいで退職したいなと考えています。年齢から逆算してあと15年弱。年間100万円を返済するとなると、10年間返済してちょうど1000万円。そんなざっくりとした計算でした。ほかの人たちは、どのようにして予算を立てるんだろう? 「こんな家がいいな」と想像している家がどのくらいのお金で建つ、ということをみんな何となく分かっているんだろうか?

ちなみに今回のつくった償還予定表のうち、1000万円の場合をざっくりと説明すると、10年で返済、利率は2.2%(年率26.4%)。毎月5万1,300円、ボーナス時に25万7000円となりました。返済し終えたときの支払総額は、1127万7503円、利息は127万7503円となる計算です。個人的には、思ったよりも利息は少ないなという印象。1000万円借りたら、同額の利息を払うというようなイメージを勝手に持っていました。この程度なら、借金をして利息を支払いながらでも、自分の家で暮らす時間を楽しんだほうがいいなと思いました。

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1000万円という大金を借り、10年間で130万円弱の利息。賢く選べば車を1台購入できる金額です。これをリーズナブル(合理的)と感じるか、勿体ないと感じるか。利息を支払っても自分の家を建てるのか、毎月家賃を支払ってアパートに暮らすか。人それぞれです。
いずれにせよ、お金を借りて家を建てるためには、必要な負担であることは事実のようです。

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今日、一昨日つくったリストにいくつか追記した。

働き出して何年も経って気づいたこと。

衣食住は憲法で保障されているけれど、実際には当たり前のことではなくって、今までありがたいとも思わず暮らしてきたけれど、普通に生活させてもらえていたことにすごく感謝している自分が、遅ればせながらいます。着ること、食べること、住むことについてよく考えるようになったと思う。着物、家庭菜園などがその表れなのかな。自然に自分の暮らしの中に溶け込んできたという感じ。

背伸びせず、自分の身の丈に合ったものを大切に選びながら、そんな暮らしをいつか、パートナーと共有しながら送ることができたら、どんなに素敵で幸せだろう、と思うのです。