WORKS – case-M/T

works-dp-mt-main

「子どもが暮らしやすい家は、年老いてからも暮らしやすいはず」

そんな考えを持つクライアントが、2人の子どもを育てるためにつくった家です。レトロな雰囲気の中に実用性と遊び心を織り交ぜたデザインを求められたと記憶しています。

家族の和を育むようにと、ちゃぶ台のある居間を中心にした間取り、台所から「おかえり」と声をかけられる窓、お互いに様子をうかがえる個室の建具などを採用。地域の人との和を育むようにと、町並みに溶け込む外観、玄関土間から居間へと連続する空間配置、通りに面して設けられた床机などを提案しました。

部屋ごとに異なるカラーリング、カラフルなガラスブロック、小物を飾るニッチ、格子状の飾り棚、月やひょうたん型にくり抜いた灯り窓など、内部のディテールにもこだわりを採り入れています。

Data

Data: ○所在地/鳥取市用瀬町○用途/専用住宅○家族構成/夫婦+子ども2人○構造/在来木造○規模/地上2階建○設計期間/2009年4月~20010年5月○施工期間/2010年8月~2011年3月○敷地面積/95.18m2○延床面積/96.88m2

Detail

鳥取の建築家PLUS CASA WORKS - case-M/T

リビング

大きな玄関を通じて、外部とのコミュニケーションの場となるリビング。

鳥取の建築家PLUS CASA WORKS - case-M/T

書斎

2階は部屋ごとにテーマカラーがある。書斎のそれは、グリーン。

鳥取の建築家PLUS CASA WORKS - case-M/T

洗濯室

洗濯室のテーマカラーは、太陽を思わせるオレンジ。

鳥取の建築家PLUS CASA WORKS - case-M/T

子ども部屋

子どもの成長にあわせて、部屋を仕切ることを想定して設計されている子ども部屋。壁には色とりどりのガラスブロックが埋め込まれ、楽しい雰囲気が演出されている。

鳥取の建築家PLUS CASA WORKS - case-M/T

玄関

色とりどりの細かな玉砂利が埋め込まれた玄関。見た目が少し華やかになるとともに、水に濡れた際にすべりにくくしてくれる効果もある。

鳥取の建築家PLUS CASA WORKS - case-M/T

ばったり床机

玄関脇に設置された「ばったり床机」。ここにご近所さんが座って井戸端会議、なんてことも。T邸の表情にもほどよいアクセントをもたらす。

平面図

works-dp-mt-zumen01

works-dp-mt-zumen02

  • Ba 浴室
  • BR 寝室
  • De 書斎
  • E 玄関
  • K キッチン
  • L リビング
  • LR 洗濯室
  • P 縁側

特別記事: 繋がりの生まれる家。

「一回目のプレゼンの時、180度くらい方向性が変わったんです。それはもう、本当に驚きました」

そうPLUS CASA小林が話すT邸。用瀬町の古くからの家並みに違和感なく溶け込んだ日本家屋だ。

「ホームページや情報誌の広告などで、PLUS CASAの仕事は以前から見ていたんですよ。遊び心がありつつ、ものづくりのスタンスはすごく真面目。鳥取離れしたセンスだなって注目していました。自分の姉にも紹介したくらいです。実際に彼女はPLUS CASAで家を建てましたしね」

小林たちに依頼した経緯をそう説明した施主のTさん。人と人との繋がりがしっかり形成されているコミュニティの中で子育てができる、という条件で、土地探しも小林たちに依頼した。いくつかの候補の中から、用瀬町に決まった。その土地を「そこに自分の家を建てる」という視点で見るという経験は、それまでのTさんの家づくりに対する考え方に影響を与えることになった。

「当初依頼していたPLUS CASAらしい斬新でユニークなデザインの家が、地域の方との距離を生んでしまうことにならないか、そう思ったんですね。そこで、遊び心は大切にしながらも地域にすっと溶け込み、ご近所の方々とたくさんふれ合える和風の家にしたいと、そう小林さんたちに伝えました。これは大きな転換でした。もしかすると断られてしまうんじゃないかと思ったくらいです」

ここで冒頭の小林の言葉に繋がる。

「確かに驚きましたが、これだけの大きな変化でも、わたしたちに任せてもらえたのは嬉しかったですよ。結局のところ、わたしたちがつくりたいのは依頼主が満足する家であって、ただ斬新な家ではないわけですから」

こうして現在のT邸ができあがった。外から見るとまさしく日本家屋、しかし内部は至るところに遊び心が鏤められ、思わず細かくチェックして廻りたくなる仕上がりになっている。

諸事情でまだ入居しておらず、時々遊びにくるだけとなっているが、「車を停めて玄関を開けていると、『来とんさるんかぁ。いつ引越してくるだいな』とか、ご近所さんが本当に良く声をかけてくれるんですよ。最初に考えていたモダンなイメージの家では、こうはいかなかったかも知れません。それにしても、依頼内容をガラッと変えて、そこにピッタリくるプランをつくってくれた小林さんは、本当にすごい!」
勇気と率直さを持ってコミュニケーションされ、できあがった家は、地域の人たちとのコミュニケーションもしっかりと育んでいるようだ。

Other

magazine-10-mt-cover

この作品掲載の無料情報誌 MAGAZINE PLUS CASAは10号です。ご希望の方には無料で郵送しております。

works-dp-blog-is

プレゼンから引き渡しまで、この作品に関する悲喜こもごものストーリーはこちらでお読みいただけます。