case-K/U引渡し

先日、リノベーションの引渡しを行いました。

鳥取市内から車で30分。かなり奥深い所まで来たと感じる長閑な敷地にこの建築は建っています。すぐ横に流れる綺麗な川のせせらぎが家の中に居ても聞こえ、川風が気持ちいい豊かな環境。
そんな田舎の祖父の家を相続したけれど、自分たちは既に市内にマンションを購入済み。だからといって、子供のころ川で遊んだ楽しい思い出がいっぱい詰まったこの家を、このまま空き家として朽ちさせてしまうのは寂しい…。当時と変わらない自然豊かな環境で、わが子にも同じような経験をさせてあげたい。住むことは出来ないけれど、休みの日に子供と一緒に遊んだり、非日常の暮らしを楽しむセカンドハウスにして活用したい!というご依頼を受けました。そんなクライアントの決断に、私たちも共感し、今後増えるであろう社会的な課題を、どのように楽しく解決するか思案しました。

多様な使い方が出来るよう、出来る限りシンプルなプランと材料をご提案。
土間コンクリートや壁の構造用合板は、建築の構造強度を高める効果もあります。

夏は庭でバーベキューなどキャンプするように過ごし、冬は薪ストーブを囲みゆったりと過ごす。日常とは異る時間を家族や友人と過ごし、リフレッシュして意欲的な週明けを迎える豊かな暮らし。

また収納として計画していた空間を、クライアントがお子さんと一緒にDIYで子供スペースにされる予定。その空間を拠点に、川や敷地周辺で遊びまわる姿を想像すると和やかな気分になります。

親から子へ、その記憶や思い出が上書きされ続ける。
笑い声と共にこの建築も建ち続け、記憶の継承の一助となれば。

ここ近年、空き家に関わるご依頼も増え続けています。この建築のクライアントのように、空き家を相続することが負ではなく、新しい暮らし方のチャンスとなるような提案をしたい。
例えばこのような二拠点生活も選択肢の1つ。
今後、都会や世界中から田舎の家をセカンドハウスとして活用し、多様な暮らし方をする事も増えていくはずです。そこへ少しでも補助金が補われる仕組みが出来れば、資金的なハードルも下がるのかもしれません。

ロシアでは18世紀から田舎の小さな菜園付き別荘で、バカンスや週末をガーデニングや菜園づくりをしながらゆったり過ごす“ダーチャ”という文化があります。まさに、今回の暮らし方そのものです。二拠点居住で週末は空き家を改修した田舎の家で豊かな自然を満喫する!そんな豊かな暮らし方が日本でも定着すれば、空き家対策の一端を担うこととなるのではないでしょうか?

空き家が1軒でも朽ちることなく、新たな息吹を吹き込むことが出来る仕組みを作りたい。
全国的な社会問題となっている空き家対策も、地方からの方が突破口や可能性があると信じ、模索していきたいと考えています。

Photo by Kota Aoki

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